近年、トラックドライバーの健康状態が原因で発生する、「健康起因事故」が問題視されています。
国土交通省では、2020年の事業用自動車運転者の健康状態が関連した事故報告件数は286件で、前年よりは減少しているものの、引き続きトラックドライバーの健康管理はとても重要なのです。
健康起因事故への対策は?
以下の対策を意識して健康を維持していくことが重要です。
1)健康管理の徹底
運転者は定期的な健康診断を受けて、体調管理に努めましょう。
2)運転者教育の強化
健康リスクの教育を実施して、運転者に健康管理の重要性を認識させます。
3)運転者の休息時間の確保
適切な休息を取ることで、運転中の体調不良を防ぎます。
4)健康起因事故を減らす
業界全体で取り組むことが大切です。
ドライバーは要注意!「運転操作不能案件」とは?
運転操作不能案件とは、運転者の健康状態が原因で発生する事故(健康起因事故)により、運転中に意識障害や体調不良が生じて運転操作ができなくなる状態のことをいいます。
事業用自動車の健康起因事故件数は年々増加しているため、最悪の事態とならないよう今一度注意をしましょう。
運転操作不能案件の原因となる病気の種類は?
過去5年間で健康起因事故を起こした運転操作不能案件の主な原因疾患は、脳疾患が16%、心臓疾患が14%です。そして、健康起因事故を起こした運転者が死亡した疾患では、心臓疾患が50%、脳疾患が15%を占めています。
また、ドライバーは病気が原因で、運転が続けられないケースも増えています。
事故防止には、ドライバー自身の日々の健康管理がとても重要となってきます。
トラックドライバー必見!検診結果のセルフチェック
運転中に急激な体調変化が起きないように、定期的に健康診断を受診してその結果を受け、必要に応じた医療機関受診や治療継続が求められます。
正常値を意識すべき項目には、下記が挙げられます。
ぜひ一度、セルフ健康チェックをしてみましょう。
~セルフチェックリスト~
- 体重:標準体重に近づける
- 腹囲:男性で85cm以内
- BMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)):22以内
- 血圧:130/85mmHg未満
- 血糖:100mg/dl未満、HbA1c:5.6%未満
- 脂質:総コレステロール:140~199mg/dl、中性脂肪:150mg/dl未満、HDLコレステロール:40mg/dl以上、LDLコレステロール:120mg/dl未満
「メタボリック」にも注意!
トラックドライバーは、ぽっこりお腹の内臓脂肪型肥満であるメタボリックシンドロームが多い傾向です。
メタボリックシンドロームは腹囲から内臓脂肪を判断します。
男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
メタボリックシンドロームの状態が長く続くと、動脈硬化が進みやすく血管の壁が傷ついてもろくなってしまいます。
さらに高脂血症もある場合は、血液が血管の中でドロドロして詰まりやすくなることで、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの命に関わる病気のリスクが高まります。
つまり、お腹まわりの脂肪を減らせば病気のリスクは減り、検査結果の数値の改善も期待できます。
まとめ
過酷な労働環境で運転するトラックドライバーは、高いレベルの健康管理が求められます。定期的な健康診断を受け自身の健康状態を正確に把握することはもちろんですが、食事、運動、休息などにも注意を払うことも病気の発症を防ぐためには大切です。
病気が原因で事故を起こした時の社会的影響を受けないように、プロのドライバーとして生活習慣病を予防・改善して健康状態を保っていきましょう。